アベノミクスで”女性活用”が今うたわれていますが、女性が社会で活躍しながら、本当に幸せな自分の人生を生きていくには、現状(=男性社会)のままでは難しいのではないでしょうか?
女性が社会で活躍する=仕事で社会に貢献しながら充実した人生、幸せな人生を過ごしていくには、どのような働き方が実現すればよいのでしょう?
シリーズで考える本テーマの二回めは、マチュア世代と呼ばれる女性たちのこれからの働き方について、駐日デンマーク大使館からゲストをお招きして北欧の女性活用の政策とその実態、女性たちの意識について聞くことで、そのヒントを得ていきます。
日本代表は女性の力を最大限に引き出すことをご自身の使命として活躍されている方。日欧の働く女性を取り巻く環境の違いをプレゼンとパネルディスカッションで考えました。
最初の講演は(株)Woomaxの竹之内さんからあまり知られていない「平均余命」について紹介があり、残りの人生がいかに長いかを意識してキャリアを広義でとらえ、自分の目標を達成するために「思い込み」の力を味方にしてイメージすることが必要とユーモアたっぷりに語ってくださいました。
「平均寿命」についてはよく語られますが、「平均余命」を見ると年齢が上がるほど「年齢+平均余命」は伸びていきます。40歳女性は平均余命46.8だが、80歳女性は11.4、90歳なら5.5歳。人生50年と昔は言ったけれど、今は人生90年です。
長い人生を見れば、マチュア世代も人生あと半分ある。今まで積み重ねてきた半分を活かしてこれからの半分をどうしていくか考える時代です。
「マチュア世代」がキャリアを語るときは、仕事の上だけの狭義のキャリアではなく、広義のキャリア「人生でその人が積み重ねてきた全ての経験」で考えるべきで、アップダウンがある、学歴、会社名、肩書など人からわかりやすい「外的キャリア」と、人には伝わりにくい経験、やりがい、志、興味関心などアップダウンに捉われない「内的キャリア」のうち、自分が大事にするキャリアはどちらなのかを自問してみるべきです。
目的に到達するにはイメージすることが大事で、①②①③とGOALをイメージしていきます。
①自分のGOALをイメージし
②現状を分析・把握(自分の強み・弱みを認識して、可能性を信じて)
①もういちどGOALのイメージをリアルにして目標を定める
③具体的な行動を起こす
自分にはどんな「思い込み」があるかを意識して、マイナスの「思い込み」は捨てるべきです。 脳はイメージしたことしか実現しません。なりたい自分になるために脳の「思い込み」を味方につけていきましょう。
若い人だけでなくマチュア世代も、将来についてどんな可能性のある自分でいたいのか、その到達点を「ビジョン」として、自分がどうありたいかをイメージしていきましょう。と結びます。
続いて、デンマーク大使館 参事官 キャッチャさんの講演です。
まず、デンマークの情報を各種の統計情報から教えてくださいました。
制度面では、日本よりもやはりずっと進んでいるようですが、実際の女性の社会進出という点からは、想像していたようなものではなく、結果の数字だけみると日本の女性たちの実態と同じような姿が見えました。 しかしそれはワークライフバランスを重んじていることから来る結果のようです。
何よりも印象に残ったのは、社会を変えることができると国民が信じていること。
そして、そのために女性たちもPUSHし続けてきたこと。それが今日の様々な制度を創り上げて来たのだということです。
・デンマークは人口600万人、経済的には日本と同じ豊かな国
・世界で一番Happyな国と言われている
安全、健康、お互い信頼関係のある社会ネットワークの強さ、社会保障と経済発展
政府に働きかけて変化を起こすことができるとデンマーク人は強く信じている
・社会保障の充実
医療と教育は無料
・Flexicurity ・・・・Flexiblity と Security からなる造語
雇用の流動性(柔軟性)と社会保障
仕事を失っても(病気になっても)復帰できるしくみがある
手厚い失業手当と職業訓練の制度が整っている
・ワークライフバランス
就業時間もフレキシブル、手厚い出産・育児休暇の制度
出産休暇:女性は産前4W、 産後14W、男性は産後2W (60%が取得)
保育サービスも充実:2/3が乳児保育(0-2歳)残り1/3は自宅で
・男性の家事
デンマークの男性の一日の労働時間は日本の男性の半分近い
労働時間比較 デンマーク男性:260分 日本男性:471分
デンマーク女性:195分 日本女性:206分
デンマークの男性は1日3時間家事をする
家事従事時間比較 デンマーク男性:186分 日本男性:62分
デンマーク女性:243分 日本女性:299分
それでもデンマークの女性は、男性が「お客にBBQをふるまうとか目立つかっこいい家事しかやらない」
と不満をもっている。
・デンマークの女性進出
1915年に参政権
1970年に女性の革命 ”red stockings" 男女平等を求める動き
2000年に男女平等法
2011年に女性大統領
2014年現在、20人の閣僚のうち8人が女性
・男女平等法
2000年に制定され、担当の省庁もある(大臣は男性だが)
今ではデンマークは男女平等で有名だが、それでもまだ省庁や担当大臣を設けなければならない状況に
ある。(つまり、まだ課題はたくさんある)
・労働人口
総人口の半分が働いている
労働年齢でみると男女とも70%以上が働いている
ただし、女性の1/3、男性では1/7がパートタイム
男女の失業率は同じ(5.8%)
平均年収は550万円だが、男性は女性より17%多い
平均休暇は年に6W
・教育
女性の学歴の高さ:かつては大学院まで進む女性は少なかったが今は大学院まで進む女性は17%の伸び、
一方男性は7%しか増えておらず女性の方が男性よりも教育レベルが高くなりつつある
・就業の場にて
25~40歳の女性の就業率が低くなっている。これは出産や子育てが原因
男女とも教育終了は28歳、結婚は30~35(第一子も同じ)
結婚や出産が他国と比べて遅いのは、高等教育を受ける人が多いから
・管理職
管理職になる年齢が40~50歳、この時期女性は子育て中
中間管理職はある程度いるが、TOPマネジメント(CEOなど)は少ない
デンマークにも「ガラスの天井」は存在する。
・なぜCEOに女性が少ないか
⇒ 上に行くことを望まない、家族や個人の生活重視、TOPよりも専門職を望む
・なぜ男性より女性の方が収入が少ないのか
⇒ 高い地位の方が年収は当然高い、出産・子育て、家事に男性より多くの時間を費やしている。
多くの女性がフルタイムではなくパートタイム
キャッチャさん自身も、大きくキャリアを方向転換しながら今日まで来ているとのこと。
一番大切なことは自分自身が何を大事にしているのかを考え、そのために新しいことにチャレンジしていくことだと続きます。
日本の女性もポテンシャルが高く、その能力を活かしていくことが必要、男性にとって代わるのではなく、男女それそれの特性を活かしてよりよい社会を作るために、女性自らもPUSHし続けることが必要。
と語ってくださいました。