今から考える定年後 (座談会)             2016.4.9開催


 1月に開催した「女性の定年とパラレルキャリア」の参加者の皆さまから、みんな「定年」についてどう考えているのか他の人の話を聞いてみたいという声が多く寄せられたので、今回は「定年」についての座談会を開催しました。

 

>すでに定年前に早期退職された方、定年が視野に入って来た方、定年まではまだ少し時間がある40代の方など、さまざまな立場の方にご参加いただきました。

 

最初は話のきっかけつくりにショートプレゼンをふたつ。まずは、1月のイベントに不参加の方ために、Never Too Late!代表 の西村から、厚生省などのデータをご紹介しました。

■平均寿命は世界一だが、健康寿命との差は10年以上

 

 

 女性は世界一、男性も世界第三位の長寿となった日本人ですが、肝心な健康寿命との差は男性で9年、女性は12年以上にも。

 

定年後の人生をいかに健康で過ごすかが重要な課題のひとつです。

■人生の三大不安

 

 健康以外にも「定年後」の人生を考えるときに多くの人が様々な不安を感じています。

 

人生の三大不安と言われるのが、「病気」「貧困」「孤独」の3つです。 

 

 

【病気の不安】

 厚生省の10年にわたる追跡調査の結果からは、なんらかの社会活動に参加している人の方が10年後に健康状態が良好であると出ています。やはり社会活動によるある種の刺激が健康には良いのでしょう。社会活動をするということはある程度、自分を律して規則正しい生活を送る必要も出てきます。もちろん意識して運動をすることが必要なのは言うまでもありません。

 

【貧困の不安】

 公的年金が65歳からとなる一方で、「高年齢者雇用安定法」の施行により世の中65歳まで継続的に働き続けられる方向になりつつあります。ここで大事なのは、まずは自分の経済状況を把握すること。今の生活の何にいくらかかって、これからは、いつ、いくらの収入が見込めるのか。

 

 人によってライフスタイルが異なり事情も様々で、今後いくら必要なのかは人によって異なります。ライフプランを考える上で、まずはマネープランを考えること。これにより要らぬ不安を持たなくてすみます。日本人は世界一貯蓄好きと言われますが、若い時とは「お金」を稼ぐことの必要性が違ってくるはず。いったい自分はこれから先、いくら稼ぐ必要があるのか、一度、考えてみることが重要です。

 

【孤独の不安】

 定年後に大事なのは、「自分の居場所を作ること」やっぱり人間は集団で生活する動物、フリーランスで仕事をしている人でも何らかの仲間は必要です。ましてや長年企業で働いてきた人なら尚のこと。会社を辞めたら「きょういく」と「きょうよう」が必要とよく言われますが「今日、行くところ」と「今日、用がある」ということは、孤独にならないために必要なこと。

 

定年後に困らないためにも、今から準備を進めて、少しでも不安を取り除いておきたいものです。

 

■人生時計

 

 最後に「人生時計」についてご紹介。

これは何度かご紹介させていただいていますが、人生80年を24時間に例えたもの。50代、60代は人生後半ではあるけれど、一日に例えるとまだ夕方から夜になりかけ。夜には夜の楽しみがある。そんな気持ちで定年後の人生を捉えていければ、前向きにこれからの人生に向き合えるのではないでしょうか。

 

 続いては、会場であるギークオフィス恵比寿主催者でリンクデザイン株式会社代表取締役の福岡秀幸さんにプレゼンしていただきました。

 

福岡さんは4年前に大手電機メーカーを早期退職した元エンジニア。在職中から様々な社外活動に積極的に参加し、戦略的(?)に早期退職した後は、さらに活動に拍車がかかり、今やその肩書の数は片手の指では足りぬほど。その福岡さんに定年後の生活や生き方について話してくださいとお願いしました。

 

■「定年後の自己実現と社会貢献を考えよう」

  冒頭、今日、話さないこととして、「定年退職後はこうすればお金を稼げます!」という話はしませんと釘を刺した後、仕事とは何のためにあるのかと3つの要素についての問題提起

 

「社会貢献」「自己実現」「生活の糧」

 

運がいい人はこの3つが限りなく重なっている。辛いのはこの3つがまったく重ならないこと。「あなたは今どうなっていますか?」との問いかけが・・・

 

■マズロー第6の欲求

 次に昔習ったマズローの欲求段階説の紹介がありました。

 

マズローの欲求5段階は有名ですが、「生理的欲求」「安全の欲求」「所属の欲求」「自尊の欲求」の上に、実は第6段階目の欲求として「コミュニティ発展の欲求」があるそうです。 自己実現をした個人が次に望むことは、自分が所属するコミュニティの発展であり、そのコミュニティが発展できるように貢献をしていくのが人間だという新説です。

 

■ソーシャルビジネスにこそ、定年退職後の生き方のヒントがある

 

 今はやりのソーシャルビジネス。ビジネスを通して社会問題を解決しようとするソーシャルビジネスは、その理念こそ素晴らしいものだが蓄えがなく将来に不安を持つ若者に「安定を捨てて社会に貢献せよ」というのは酷な話。一方で定年退職者ほどソーシャルビジネスに向いているのではないかと福岡さん。

 

なぜなら定年退職者は以下の3要素を備えているから

 

・長いサラリーマン時代に十分な蓄え+退職金

・十分なスキルと見識、豊富な人脈

・取り組み甲斐のある課題を持っている

 

■大事なのは友人

 

 最後に「世界で一番貧しい大統領」として有名な前ウルグアイ大のホセ・ムヒカ大統領や、スティーブジョブスの言葉を紹介。そこに共通するのは、富を追及するのではなく、自分を大切にし、家族や友人を大切にし、社会のために何かをすることが本当に重要なことだということ。

 

>そしてソニックガーデンの倉貫氏の言葉で締めくくってくれました。

 

「向いていないから営業をするのは止めた。3年間友達でい続けると仕事をもらえることが分かった。だから友達を増やすことにした」

 

やはり友人は大切です。Never too Late!がこうやって様々なイベントを企画・開催できるのも、様々な友人たちのおかげです!

 

ギークオフィス恵比寿だけでなく、他にも「ギーク」界隈の方たちと交流がある福岡さん。「ギークはイノベーションを起こし、より良い社会に変革しようとする人、定年退職後は一緒に夢を追えるギークを探し、エンジェルとして投資し、イノベーションを起こしましょう」とギークへのススメとして、定年後の生き方の提示もありました。 

 

■座談会

 

 その後の座談会は、参加者の簡単な自己紹介から始めるつもりが、ひとりひとりの想いや、その人への質問で、全員の自己紹介が終わるころには予定の終了時刻になってしまいました。

 

「場のコントロールはしない」、「それぞれ好きに語ってもらう」という趣旨でしたがさすがに「定年退職後」とは関係ない話への脱線も多く、これは主催者としてちょっと反省。参加の皆さま申し訳ございませんでした。

 

いったん終了後も、さらに「定年後の生き方」の話は尽きず、このテーマはもう一度取り組みたいと思いました。

 

 参加の皆さま、福岡さん、ありがとうございました。


■ プレゼンター:

・ Never too Late! 代表 西村 美奈子

・ リンクデザイン株式会社 代表取締役 福岡秀幸

 

■ 開催場所:ギークオフィス恵比寿